リチャード・デニス(Richard Dennis)は、1980年代にタートルズ(Turtles)として知られるトレーディング実験を行い、その手法で注目を集めました。彼の手法は、多くのトレーダーたちによって広く採用されています。
この記事では、リチャード・デニスが開発したタートルズの手法について詳しく解説します。その手法がどのように機能するのか、どのような原則に基づいているのかを明らかにしていきます。
リチャード・デニスについて
リチャード・デニス(Richard Dennis)は、アメリカの実力派トレーダーであり、1980年代にタートルズ(Turtles)として知られるトレーディング実験を主導しました。彼は1950年にイリノイ州シカゴで生まれ、若干の貯金からトレーディングの世界に足を踏み入れました。
デニスは自己学習の過程を経てトレーディングスキルを磨き、大きな成功を収めました。彼は自身のトレーディングスタイルを独自に開発し、その手法で巨額の利益を上げました。
リチャードデニスについての米国の記事(英語)
タートルズについて
1983年、デニスは友人のウィリアム・エックハートと共にタートルズと呼ばれる実験を開始しました。彼らは一般の人々を選抜し、彼らにトレードの手法とルールを教え、実際の市場での取引に挑戦させました。
タートルズのこの模様は、以下の書籍「伝説のトレーダー集団タートルズの全貌」で詳しく語られています。
タートルズの手法はトレンドフォロー戦略に基づいており、価格のトレンドを捉えて利益を上げることを重視しています。デニスはトレーダーたちに特定のルールを教え、リスク管理やエントリーポイントの設定などを徹底的に指導しました。
タートルズの実験は成功し、トレーダーたちは驚くべき成績を収めました。これは、デニスのトレーディング手法が有効であることを証明しました。
リチャード・デニスは、そのトレーディングの手腕と成功した実験を通じて、トレーダーや投資家の間で大きな影響を持っています。彼の手法や哲学は、トレーディングコミュニティで広く議論され、研究されています。
タートルズの手法について
驚くことに、タートルズの手法は現在は一般的に出回ってます。「タートルズの全貌」でも詳しく手法が書かれています。これによると、システム1、システム2の2種類の手法があったとされています。
タートルズ手法「システム1」
書籍には詳しく手法が書いてますが、ざっとまとめると以下のような感じです。書籍では週計算で書かれていますが、営業日ベースで計算すると1週=5日。それでみると、よくわかります。
エントリールール
- 過去4週(20日)の高値をブレイクしたら買い
- 取引1回にあたり、手持ちの資金2%を投入
追加のフィルタールール
- 直近20日のブレイクアウトで利益出す
- 次の20日ブレイクアウトは無視する
手仕舞いのポイント
- 過去2週間(10日)の安値を割ったら手仕舞う
タートルズ手法「システム2」
システム1で取りこぼす、大きなトレンドを捉えるときに使うと書籍では書かれています。
エントリールール
- 過去11週(55日)の高値をブレイクしたら買い
手仕舞いのポイント
- 過去4週間(20日)の安値を割ったら手仕舞う
タートルズの手法は現在は通用するのか?
タートルズの手法は、1980年代にリチャード・デニスが開発したトレンドフォロー戦略であり、当時大きな成功を収めました。しかし、現在の市場環境や取引の変化により、タートルズの手法は通用しません。
1980年代から比べると、テクノロジーの進歩は驚異的なものであり、高速な取引やアルゴリズム取引が一般化してきました。これにより市場の競争が激化し、タートルズの手法も考慮されて、取引のエッジを保つことが難しくなっています。
タートルズの手法を狙う「タートルスープ」が流行った
伝説の手法が一般人にも公開されたため、こぞってタートルズの手法に着手しました。そこで発生するのが、それらを狙った手法です。タートルスープと呼ばれました。
タートルズはブレイクアウトの手法なので、そこで逆張りを仕掛けるという手法です。これで、大きく稼ぐトレーダーが続出したとされています。
タートルズの中で有名になったトレーダー
リチャード・デニスによって育てられたタートルズの人数は、当初は約20人程度でした。彼は彼らにトレーディングの手法とルールを教え、実際の市場での取引に挑戦させました。
タートルズの中でも特に有名なトレーダーとして知られている人物がいくつかあります。以下にその一部を紹介します。
カート・ウィンクルリード(Curtis Faith)
カート・ウィンクルリードは若干の経験しかなかったにもかかわらず、タートルズの一員として選ばれました。彼は後に「ウェイ・オブ・ザ・タートル」(”Way of the Turtle”)という本を執筆し、タートルズの経験を共有しました。
マイケル・カー(Michael Carr)
トレード経験が一切なく、タートルズに入った人物。タートルズの手法やトレーディングの世界に関する著作を多数執筆し、タートルズの物語やトレンドフォロー戦略について広く紹介しました。彼の代表作としては、「タートルズ・ウェイ」(The Complete TurtleTrader)や「トレンド・フォロー」(Trend Following)などがあります。
入ってからの模様は書籍「新・マーケットの魔術師」の沈黙するタートルズの章で詳しく書かれています。
ビル・エックスタイン(Bill Eckhardt)
ビル・エックスタインは、リチャード・デニスと共にタートルズの実験を主導した人物です。彼はトレーダーとしての優れた洞察力と戦略を持っており、タートルズの成功に大きく貢献しました。
ポール・ラビノウィッツ(Paul Rabaritz)
ポール・ラビノウィッツは、タートルズの一員として選ばれ、成功を収めました。彼は後に独自の投資ファンドを設立し、その運営で成功を続けています。
これらはタートルズの中でも特に知られているトレーダーの一部ですが、他にも多くのタートルズがプロのトレーダーとして活躍しています。リチャード・デニスの指導の下で育った彼らは、タートルズの手法を駆使して市場で成功を収めたトレーダーとして、投資界で名を馳せています。
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